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2007年6月

【 2007年6月 】

相続税の税務調査

先日相続税の申告が終了し、ほっとしています。しかし、その申告について調査がくることもあるとききました。調査ではどのようなことを行い、何を聞かれるのでしょうか?

相続税の申告書を提出して一番心配なのは税務調査です。税務調査が来るのは「4件に1件の割合」と言われていますが、財産、特に多くの預貯金が頻繁に動いている場合や、争いがあったときは調査の対象として選定される場合が多いようです。調査の時期は申告書を提出してから最初の8月~12月にくる可能性が一番高く、次に2年目の8~12月、3年目の8~12月に来なければ税務調査は来ない可能性が高いといわれています。以下相続税の税務調査について簡単に説明します。

<解説>

1. 税務調査とは

税務調査には任意調査と強制調査とがあり、任意調査に法的な拘束力はなく、現状調査や帳簿の調査が行われます。一方、強制調査には法的な拘束力があり、臨検、捜査、差し押さえ等がなされます。税務調査のほとんどは、前者の任意調査です。調査の手順としては、最初に税務署から納税者(又は税理士)に電話がきますので、調査の対象となる年度や、当日必要な書類について事前に確認しておくと良いでしょう。ただし、業種によっては(現金商売の場合等)抜き打ち調査もありえます。税務調査の結果特に問題がない場合には、税務署から納税者または調査に立ち会った税理士に対し、調査終了の通知がきます。問題箇所が見つかった場合には修正申告を行うことになりますが、その場合には延滞税や過少申告加算税、あるいは重加算税がかかります。

2. 税務調査の流れ

税務調査の流れは、所轄の税務署から申告書の作成税理士に税務調査に入りたい旨の連絡があり、相続人との日程の調整が行われます。当日は朝10時から調査が始まり午後5時位までかかりますが、午前中に終了ということもあります。調査は2名の税務署職員が相続人の家に訪れ、午前中は聞き取り調査、午後は通帳・権利書等重要書類の確認を行います。

相続税の税務調査で質問される項目はおおむね決まっています。

午前中 の聞き取り調査ではまず、被相続人の仕事、趣味、性格、入院歴、病気の状況、亡くなる前の意思があったかどうか。財産(主に預貯金)の管理者は誰だったのか。医療費はどこから出していたか。生活費はどのように捻出していたか。以上の質問により「亡くなった方の財産が生前の収入に対して適正な額か」「贈与税の申告もなく家族の名義になった財産はないか」が確認されます。

午後 の現地調査では、被相続人が生前に財産(預金通帳、権利書等)を保管していた場所の確認。二次相続の場合には一次相続で名義の書き換えをしているかどうか(一次相続の時にその配偶者が相続したものが漏れていないかどうかの確認)を前の相続税申告書と突き合わせ(特に預貯金)をします。被相続人からの贈与についての確認(金額、時期、申告の有無)贈与後の通帳・証書の保管者。手持ち現金の状況の確認。家に保管してある全ての印鑑の印影をとる(各印鑑の使用方法の確認)。預金通帳について家族全員分の金融機関・番号・残高・取引内容の確認。土地の測量図が家に残っていないか(縄延び*がないかの確認)。現地を見に行くこともあります。

*縄延びとは、登記簿上の土地面積より実測面積が大きいことをいいます。
 

3. 税務調査で注目される預貯金の流れ

相続税の税務調査で一番問題になるのは現金預金の取引内容です。特に名義預金の関係は詳しく調べられます。名義預金というのは、亡くなった方の預貯金が贈与の手続きを経ずに他の家族の名義になっているものです。税理士も申告書作成時には被相続人の過去何年間かの預貯金の流れを確認します。特に大きい出金に関してはどこへいったのか、亡くなった日現在でほかの家族の名義になっていないか等をよく調べます。税務署に相続税の申告書が提出されると、税務署の担当が関係のありそうな全ての金融機関に相続が発生した日現在の被相続人、相続人、家族の預貯金の残高と過去何年間かの預貯金の取引明細の問い合わせがあります。

また、郵便局の貯金については税務署では調べられないという噂もありますが、その点はどうでしょうか。郵便局はコンピューター管理が進んでいますので地域のセンターに問い合わせると最新の正確なデータが早めに出てきます。税務調査で郵便局の貯金の申告漏れが見つかると「脱税しようとした」という見解がとられ、重加算税の対象にしようとする調査官が多いようです。

4. おわりに

税務調査を終えて後日、税務署・納税者・税理士との間で問題点の調整後、税金を納める場合には修正申告書を提出します。また、戻る部分があれば更正の請求・嘆願の請求を提出することになります。

税務調査は現預金の流れが最重要ポイントです。被相続人の生前の入出金についてしっかり把握し、贈与の申告等の漏れがないか再度確認してみることが大切です。

 

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