市街化調整区域の雑種地の評価方法
※2012年9月時点の税制をもとに改訂しています。
市街化調整区域内に土地を所有しています。登記簿上の地目は畑なのですが、実際には資材置き場として使用しており、農業振興地域内に存在しています。なお、固定資産税上の地目は雑種地となっています。この場合、相続税上どのようにして評価を行うのでしょうか。
登記簿上の地目が畑であっても実際には資材置き場として利用しているということなので、雑種地として評価を行っていきます。今回はこの市街化調整区域の雑種地の評価について詳しく解説していきます。
〈市街化調整区域とは〉
市街化調整区域とは、都市計画法によって都市の健全な発展と計画的な街づくりを実現するために、「市街化を抑制する区域」として定められているものをいいます。この区域においては、土地の利用にかかる規制が厳しく、特に宅地の以外の土地は、建物の建築は認められていません。
〈雑種地〉
雑種地とは、評価区分上、宅地、山林、田、畑、原野、牧場、池沼および鉱泉地以外の土地のことをいいます。この雑種地について、特段の定義はなされていません。そのため、個別に定められている地目以外の土地は全て雑種地となります。具体的には駐車場・資材置場・運動用地(テニスコート・ゴルフ上等)などがこれにあたります。
〈雑種地の評価方法〉
このように雑種地の実情が多様であるため、画一的な評価規定は設けられていません。原則として雑種地の評価は評価を行おうとする雑種地と状況が類似する付近の土地1平方㍍当たりの価額をもとに、雑種地との位置や形状等の条件差を考慮して行っていきます。しかし、市街地化調整区域内にある雑種地については、状況が類似するのが難しいため評価対象地の周囲の状況を考慮して判定を行って行きます。
土地の価額は、その土地の最有効使用を前提として形成されると考えられるのが一般的です。また、その土地の最有効使用は、周辺の標準的な使用(地目)を判定するに当たっては、評価対象地の状況を考慮して判定を行っていくのが相当であると考えられます。
〈市街化調整区域の種地の評価方法〉
土地の評価方法には、「路線化方式」と「倍率方式」があります。「路線価方式」とは、その土地に面している道路に付された1平方㍍当たりの価額(国税局が公表している路線価)に地積を乗じて評価する方法で。その土地の形状や状況によりその評価額を調整します。「倍率方式」とは、固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて評価する方法です。固定資産税評価額は土地の形状や状態などを考慮して定められているため、路線化方式のように評価額の調整を行う必要はありません。倍率は国税局が公表している倍率表に載っており、地域ごとに、宅地、山林、田、畑、原野、牧場、池沼及び鉱泉地はそれぞれ異なる倍率が定められています。しかし、雑種地には倍率が定められていません。市街化調整区域内にある土地については、原則として倍率方式により評価することとされています。しかし、評価倍率表には「雑種地」という区分がないため、単純に固定資産税評価額×倍率で評価できません。そのため状況が類似する付近の土地の価額を基にして評価を行っていくことになるのですが、その際、以下の2つの評価方法が考えられます。
(1)近傍の宅地に比準する方法
市街化調整区域内の雑種地を付近の宅地に比準して評価する場合には、市街化の度合いによって斟酌して評価します。一般的な市街化調整区域内にある雑種地の場合、先に述べたように原則として建築に対して大きな制限があり、建物を建てることができないため、近傍の宅地に比準した額から50%評価減して評価します。一方、評価対象地が幹線道路沿いの境界線付近にある雑種地の場合、わりと宅地が近くに多く存在し、用途制限が比較的ゆるい場合が多く、宅地化の可能性があるため、宅地に比準して求めた評価額から30%減額して評価します。ただし、周囲に郊外型店舗など建ち並んでいるような場合には宅地に比準して評価し、減額できません。
(2)近傍の畑に比準する方法
評価対象地の周辺が純農地、純山林、純原野の場合、その雑種地は宅地化による利益を見込むことはできません。
雑種地の周辺が純農地等である場合には、付近の宅地ではなく、純農地の価額をもとに評価を行っていきます。
このいずれの方法を採用するかについては、評価対象の周辺の状況等をよく把握し、慎重に判断を行ってゆく必要があるといえます。なぜなら市街化調整区域内の雑種地は、今後開発の可能性が全く無い地域に存在するものもあり、その状況は実に多様であるからです。今回のご質問にある土地は、(2)の近傍の畑に比準する方法を採用し評価するものと考えられます。具体的な評価方法は下記の通りです。評価対象である雑種地の周辺が純農地等である場合には、付近の宅地ではなく、純農地の価額をもとに評価を行っていきます。今回の質問にある土地については、農業振興地域内に存在し、資材置き場として利用されています。そのため、財産評価基本通達24-5(農業用施設用地の評価)を適用し、次の算式によって計算を行っていきます。
【具体例】
地積:165㎡
固定資産税上の地目:雑種地
近傍の畑の固定資産税評価額:23,000円(230㎡)
畑の評価倍率:196倍
造成費:6,000円
※1その宅地が農地であるとした場合の1㎡当たりの価額(近傍の農地の1㎡当たりの固定資産税評価額)
※2その農地を課税時期において当該農業用施設の用に供されている宅地とする場合に通常必要と認められる1㎡当たりの造成費に相当する金額として、整地、土盛り又は土止めに要する費用の額がおおむね同一と認められる地域ごとに国税局長の定める金額
【計算式】
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