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配偶者に対する相続税額の軽減措置

※2012年9月時点の税制をもとに改訂しています。

相続の申告について、配偶者には税金面で優遇措置があると聞いたのですが、実際はどのようなものなのでしょうか。

相続税の納付額を計算する際、一定の要件に該当する場合、課税価格に税率を掛けて算出した額から、一定金額を控除する「税額控除」というものがあります。相続税には6つの控除項目があり、その1つが「配偶者に対する相続税額の軽減」という特例措置です。これを適用することによって、配偶者が相続税を支払うことはほとんどなくなります。 以下ではこの「配偶者の税額軽減」について詳しく説明していきます。

配偶者の相続分が、法定相続分、(または1億6000万円のどちらか多い金額)以下である場合には相続税はかかってきません。法定相続分とは、法律(民法)で決められている相続人(相続する権利を持つ人)、すなわち法定相続人に対する相続分の割合です。被相続人が亡くなって遺言がない場合には、民法に基づき相続人が決まります。この法定相続人の範囲は配偶者、子、直系尊属(父母・祖父母)、兄弟姉妹と定められています。ただし、被相続人に子供がいる場合は、直系尊属や兄弟姉妹は法定相続人とはなれません。相続順位と法定相続分は別表のようになっています。

配偶者の相続財産≦相続財産全体×配偶者の法定相続分
又は
1億6,000万円

相続税は無税
※仮に配偶者の相続財産が法定相続分を超えていても1億6,000万円までなら無税

順位 法定相続人と法定相続分
第一順位 配偶者1/2 子供(直系卑属)1/2
第二順位 配偶者2/3 親(直系尊属)1/3
第三順位 配偶者3/4 兄弟姉妹1/4

 まず配偶者がいて、それ以外に子、親、兄弟姉妹が上記の表にあるような順位で配偶者と共に相続人となります。
より具体的に説明すると、被相続人に配偶者と子供が1人いる場合の法定相続分は、配偶者と子供がそれぞれ1/2ずつとなります。配偶者の相続分は子の人数に関わりなく常に1/2です。
子供1人あたり配分については、子供が2人いるときには、子供に割り当てられた額(全体に1/2)を更に1/2ずつ分け(子1人当たり1/4)、3人いるときは1/3ずつ(子1人当たり1/6)、4人いるときは1/4(子1人当たり1/8)ずつというように、子供の人数によって均等に分けていくのです。
子供がおらず、配偶者と両親(被相続人の両親)がいる場合も、被相続人に子も両親もおらず、配偶者と兄弟姉妹のみがいる場合も上記の割合で同様に計算していきます。
配偶者の税額軽減額は、具体的には次のようにして計算されます。

(1)課税価格のうち配偶者の法定相続分(ただし、1億6,000万円に満たないときは1億6,000万円)
(2)配偶者の相続する課税価格

 このようにして計算された配偶者の税額軽減額は、配偶者の相続税額から差し引くことができます。
この措置は婚姻期間等には関係なく適用が受けられますが、これまでの解説でおわかりの通り、税額軽減額が遺産分割等で、配偶者が実際に取得する財産を基に計算されることになっているため、原則相続税の申告期限までに配偶者に分割されていない財産は、税額軽減の対象になりません。ただし、申告期限までに未分割であった財産について、申告期限から3年以内に分割が終了し、修正申告書を提出する場合には税額軽減の対象となります。また、やむを得ない事情のため、相続税の申告期限後3年を経過する日まで分割できなかったという場合も、その旨の承認を税務署長から受けて、分割が確定した後4カ月以内に分割を終了すれば税額軽減に対象になります。配偶者の税額軽減措置を受けるための手続きとしては、税額軽減の明細を記載した相続税の申告書や戸籍謄本と共に、配偶者の取得した財産がわかる書類【遺言者の写しや遺産分割協議書の写し(印鑑証明書付)など】を添えて提出します。

今回解説してきたこの「配偶者に対する相続税額の軽減措置」という特例は、相続をした配偶者自身が亡くなった際には、再び相続が生じることを考慮し、また、被相続人にとって長年生活を共にしながらその財産を築いてきた存在である配偶者に、できるだけ相続税を課税しないように考慮しつくられているのです。

 

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