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特集 養子縁組と生前贈与の効果と手続き

※2012年9月時点の税制をもとに改訂しています。

いざというとき少しでも負担軽減できるように
財産が多いほど高い相続税率に

今現在、「うちには相続税はかからないな」と思っていても、今後は課税が発生するということも十分に考えられます。また、相続税の税率は、被相続人の残した財産が多ければ多いほど税金の負担が重くなるという超過累進税率になっています。今回の特集では、いざという時に少しでも相続税の負担が減らせるよう、養子縁組と生前贈与という2つの節税対策について詳しく解説していきたいと思います。

一、養子縁組の効果と手続き

(1)相続税の概要~基礎控除と法定相続人~

 前段で基礎控除という言葉が出てきていますが、「基礎控除って実際どれくらいあるものなの」と思われた方も多いと思います。基礎控除額は、具体的には次のような計算式によって求められます。

5,000万円+1,000万円X法定相続人の数=基礎控除額

 法定相続人とは、法律(民法)で決められている相続人(相続する権利を持つ人)のことで、被相続人の家族の状況によって細かく区分されています(詳しくは=「配偶者に対する相続税額の軽減措置」をご覧ください)。結論から述べるとこの法定相続人の数によって相続税の負担が大きく変わるのです。相続税というのは、各相続人が実際取得した財産を基に算定するのではなく、遺産総額から非課税財産や債務、葬式費用等を差引き、さらに基礎控除額を差引いた金額を基に算定されます。非課税財産には墓地や仏壇等があり、また生命保険や退職金も一定額までは非課税とされます。各非課税額は【表2】の算式によって求められます。以上のようにして算定される金額を「課税遺産総額」といい、この価額を基にして相続税が計算されます。ここまで読んでいただければお分かりの通り、基礎控除額は上記の計算式の様に、法定相続人が一人増えるごとにその額が1000万円ずつ増えていく仕組みになっています。この基礎控除額というものによって税金がかかってくるかこないか、そして実際に税率が乗じられる課税遺産総額が大きく変わってきます

 また、生命保険金や退職金がある場合も法定相続人の数が多いほうが、非課税とされる金額が大きくなります。これでなぜ法定相続人の数が多いほうが相続税の負担が軽くなるのかお分かりいただけたと思います。では、養子縁組と法定相続人に一体どのような関係があるのでしょうか。「養子と法定相続人」が節税対策の大きなポイントになるのは、被相続人の養子もこの法定相続人に該当し、上記の法定相続人の数に加えることができるからなのです。

【表2】

相続人が受け取る生命保険金の非課税限額=500万円×法定相続人の数
相続人が受け取る退職金の非課税限度額=500万円×法定相続人の数

(2)養子縁組の効果と具体例

 実際に法定相続人が(1)実子2人の場合と、(2)実子2人と養子1人(被相続人の孫以外の者)の場合という具体例を使って比較してみると、次のように税額が変わってきます。

【例】相続財産10億円(うち土地6億5000万円、預貯金2億500万円、生命保険金1億円、葬式費用△300万円)
下の図式から分かるように養子縁組をしない場合とした場合では、5450万円も税額が変わってくるにです。

  (1) (2)
土地 6億5,000万円 6億5,000円
預金 2億5,000万円 2億5,000円
生命保険金 1億 1億
生命保険金の非課税限度額 △1,000万円 △1,500万円
葬式費用 △300万円 △300万円
小計 9億8,700万円 9億8,200円
基礎控除 △7,000万円 △8,000万円
合計 9億1,700万円 9億200万円

生命保険金の非課税限度額
(1)500万円×2人=1,000万円
(2)500万円×3人=1,500万円

基礎控除額
(1)5,000万円+1,000万円×2人=7,000万円
(2)5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円

【相続税額の計算】

  課税遺産総額 相続税額
(1)養子縁組をしない場合 9億1,700万円 3億6,450万円
(2)養子縁組をした場合 9億200万円 3億1,000万円

(3)養子縁組の仕組みと手続き

 民法上では、養子縁組は何人でも可能ですが、現行の相続税法上は、養子として認められる(法定相続人の数に含められる)人数は、実子がいる場合には1人、実子のいない場合には2人に制限されています。また、2003年の税制改正によって被相続人が孫を養子にした場合は、代襲相続人である者を除いて相続税額の2割加算制度の対象となりましたが、孫を養子にしてその子に相続させた場合、本来ならば相続税が2回かかるところを、1回で済ませることができ、有利となりましす。養子縁組の手続きとしては、各市町村の役所等の窓口で養子縁組届をもらい、所定欄に記入、署名押印を行い提出します。この届出先と本籍地が異なる場合は、戸籍謄本も必要になります。また、養子となる者が未成年の場合は、あらかじめ家庭裁判所のの許可審判が必要とされることもあります。養子となる者が15歳未満の場合には、その法定代理人が署名押印を行います。法定代理人以外に監護をすべき者として、父または母(義父母)が定められている場合には、その同意も必要です。ちなみにこの届出をしてから、実際に戸籍謄本に記載されるまでに一週間ほどかかりますが、養子となる者は、民法上縁組の日から養親の嫡出子として身分を取得することとなります。養子となった者は、養親と実親との両方の相続権を持つことになり、この養子の相続権は、養子が養親と共に暮らしていなくても、後に結婚して姓が変わっても何ら影響を受けることはありません。ただし、その養子縁組が相続税の負担を不当に減少させる結果になると認められた場合には、法定相続人としては認められませんので注意が必要です。そうした時に備えて養子縁組した理由を他に考えておくと良いでしょう。

 

二、生前贈与の効果と手続き

(1)贈与税の概要~贈与税の仕組みと計算方法~

 さて、次は今回の特集のもう1つのテーマである生前贈与の節税効果と、その手続きについて解説していきます。
「生前贈与」とは読んで字のごとく、被相続人が生きている間に行う財産の贈与のことです。この贈与にも、相続の場合と同様に財産を受け取った人には、贈与税がかかってきます。贈与税の課税制度には、「暦年課税」と2003年の税制改正によって創設された新制度である「相続時精算課税」があり、2003年1月1日以後に財産の贈与を受けた人は一定の要件に該当すれば、相続時精算課税を選択することができるようになっています。この贈与税の税率というのは暦年贈与(毎年行う贈与)の場合、相続税のそれと比べて格段に高くなっています。では一体、生前贈与のどこが節税対策になるのかというと、この暦年の贈与の場合には年間110万円の基礎控除があるため、110万円まであれば毎年無税で贈与ができ、そうやって少しずつ財産を移していけば贈与税を払う必要はなく、また、相続時の財産を減らすことになり、ひいては相続税の節税対策になるというわけなのです。どのくらい生前贈与を行えば相続税の節税対策になるかわからないという方は、一度、実際に相続額の試算を行って平均税率を求めてみて、それより税率が低くなるよう生前贈与の計画を立ててはどうでしょうか。ただし、この基礎控除というのは贈与をした人ではなく、贈与を受けた人1人につき1年間で110万円の基礎控除額とされているので注意してください。また、相続開始前3年以内に法定相続人に対して行った贈与については、その贈与時の価格を相続財産に加えなければなりませんが、3年以内に納付した贈与税については算出された相続税額から差引くことができます。

各法定相続人の取得金額 税率 控除額
~1,000万円以下 10% 0万円
~3,000万円以下  15% 50万円
~5,000万円以下 20% 200万円
~1億円以下  30% 700万円
~3億円以下 40% 1,700万円
3億円超~ 50% 4,700万円

(2)具体例

 実際に具体的な数字を使って計算してみましょう。暦年課税では、その年の1月1日から12月31日までの1年間に、贈与によりもらった財産の合計価額をもとに計算を行います。例えば合計550万円の贈与を受けた場合の贈与税額は【表2】のように計算されます。このように1年間で1度に550万円の贈与を受けると67万円もの税金を納付をしなければなりませんが、これをもし5年に分けて毎年110万円ずつ贈与すれば無税で550万円の贈与ができるのです。

【表2】

 

【参考】贈与税の通算表

課税価格 税金 控除額
2,000千円以下 10%
3,000千円以下 15% 100千円
4,000千円以下 20% 250千円
6,000千円以下 30% 650千円
10,000千円以下 40% 1,250千円
10,000千円超 50% 2,250千円

お孫さんには自分名義の口座を

(3)暦年贈与の注意点

例えばおじいちゃんがお孫さんに贈与するのであれば、お孫さんは自分名義の口座を作って、通帳や印鑑は自ら管理しましょう。そして贈与の際には口座から資金を移してきちんと証拠を残し、贈与した事実を客観的に証明できるようにしておきましょう。また具体例ではわかりやすいように毎年110万円ずつ贈与を行った場合を想定しましたが、実際には金額や振込の時期をずらすなどして、連年贈与とみなされるような定期的な贈与は避けた方がよいかと思います。

(4)相続時精算課税制度

暦年課税の説明はここまでにして、次は相続時精算課税制度の解説をしていきましょう。

イ 制度の概要
相続時精算課税制度とは、一定の要件下で累積2500万円まで非課税の贈与財産を受け取った人が、相続時には贈与財産とその相続財産とを合計した価額をもとに相続税を計算し、そこからすでに納めた贈与税を控除するという制度です。この制度は受贈者である兄弟姉妹が各々、贈与者である父、母ごとに選択でき、最初の贈与の際、届出により贈与者まで継続して適用されます。

ロ 適用対象 
この制度の適用対象となる贈与者は65歳以上の親で、受贈者は贈与者の推定相続人であり、贈与の年の1月1日現在で20歳以上の子(代襲相続人を含む)です。

ハ 適用のメリット 
 この制度を利用するメリットはどのような所にあるかといいますと、まず、生前贈与を行いやすくなるという点が一つです。この制度の適用により、特別控除額2500万円以内の生前贈与については贈与時、相続時を通じて税額ゼロになります。よって相続を待たずとも生前贈与により贈与税の負担をすることなく子に財産を渡したいときに渡せるようになるからです。(ただし、贈与税の負担をなくすためには、贈与税の期限内申告が必要です。)なお、相続時の精算では贈与財産は贈与時の価額で相続財産に合算されることになります。また、暦年贈与の制度下では、相続税の基礎控除や小規模宅地等について、課税価格計算の特例などの適用により相続税額が算出されることがなくても、生前贈与で110万円を超える資産を移転すると贈与税の負担が生じていました。相続時精算課税制度の下では、このような場合においても、特別控除額を超えなければ、その生前贈与については贈与時、相続時を通じて税金を納付しなくても済むのです。もし生前贈与が特別控除額を超えてしまう場合があっても、超過額に対し一律20%の税率で贈与税がかかりますが、相続時には申告をすることにより、先に納付した贈与税額が全額還付されるので安心してください。ちなみにこの制度において、贈与財産の種類や金額、贈与回数は制限されていません。

二 適用のデメリットと注意点 
最後になりましたが、この制度を利用する際のデメリットと、注意して頂きたい点について述べておきます。まずデメリットとして、この制度は生前に贈与した財産についても相続財産に加算して相続税を支払わなければならず、相続時には生前贈与財産が贈与時の価値に戻されてしまうため、例えば贈与時と比べてその財産価値例えば贈与時が下がった場合などは損をしてしまう可能性もあります。そのため農家の方で相続税を払う可能性があるという人にはこの制度の利用はおすすめできません。なぜなら、近年は地価が下がる傾向にあるため、制度利用時には5000万円であった土地が、相続時には2000万円の価値になっているということも十分に考えられるからです。また一度相続時精算課税制度を選択すると相続発生時まで継続適用されるため、途中で暦年課税に変更することはできませんのでご注意ください。

ホ 手続き方法
この制度の選択の手続きとしては、受贈者が、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に納税地の所轄税務署長に対して「相続時精算課税選択届出書」を受贈者の戸籍謄本など、一定の書類とともに贈与税の申告書に添付して提出することとされています。

有効な節税策で争いも避けられる

最後に
今回の特集では、養子縁組と生前贈与という二つの相続税対策について解説してきました。こうした生前からきちんと対策を行っていれば、税金の負担は大幅に減らすことができるということがお分かりいただけたでしょうか。養子縁組も生前贈与も決して難しい手続きではありませんので、非常に有効な節税策であると思います。ときに「争続」と揶揄(やゆ)していわれるように、相続財産をめぐる親族間の争いは少なくありません。そうならないためにもお盆や法事等、家族が集まる際に話し合いの場を設け、遺産の分割方法も含めて、こうした節税対策についても一度検討されてみてはいかがでしょうか。

 

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